2016年9月5日

 

960-0112

福島県福島市南矢野目字鼓田6-1

医療法人いちかわクリニック内

 

福島県小児科医会

会長 太神 和広 様

 

                    311甲状腺がん家族の会

                    Eメール:311tcfggmail.com

 

      本年8月25日付けの福島県への要請について(質問と要望)

 

 私たちは県民健康調査(甲状腺検査)で“小児甲状腺がん”と判明した子どもやその親族が正会員である「311甲状腺がん家族の会」と申します。

 標記について、下記の通り質問および要望をさせていただきます。

 ご多忙のところ、誠に恐縮ですが、本文書を受理後、1週間以内に、上記メールアドレスまで回答くださいますよう、宜しくお願い申し上げます。

 なお、本質問は、現に県民健康調査(甲状腺検査)で“小児甲状腺がん”と診断され治療を受けている子どもやその家族からの質問であることをご理解いただければ幸いです。

 

                     記

○ 質問事項

 御会が福島県に提出した要望書には、下記の記載があります。

→(引用開始)

県民健康調査における甲状腺検査(以下「甲状腺検査」)に関しては以下の事項を要望する

①検査の事前説明と同意取得

 甲状腺検査の必要性、メリットならびに考えられるデメリット両面についての受診者(保護者)への十分な説明を徹底することと、それらを明記した同意書を取得すること

←(引用終了)

 当該文書中の、甲状腺検査での“考えられるデメリット”とは、具体的にどのような事象を想定されているか、教えてください。

 

 

○ 要望事項 現状をしっかりと把握してください

 福島原発事故の放射線被ばくによる健康被害、特に小児甲状腺がん発症との因果関係については、検討委員会でも、未だ結論が得られていません。また、小児甲状腺がんについては、そもそも、その病態が十分に解明されていません。

 その上で、甲状腺検査は、福島原発事故による放射線被ばくを踏まえて、県民の不安に寄り添い、被ばくの影響の有無を調べることを目的として実施されています。

 また、甲状腺検査で発見された小児甲状腺がんへの手術では、その大半で被膜外浸潤、所属リンパ節への転移などが確認され、積極的な治療を要するいわゆるハイリスクの患者さんが相当数、存在したと報告されています。

 事実、当会の正会員の中には、甲状腺検査で小児甲状腺がんが判明し、手術の待機中に腫瘍が進展した子どもさん、切除手術の後に再発の疑いが拭えない子どもさんがいます。また、再発・転移を経験し、一生、治療と向き合わざる得ない子どもさんもいます。

 こうした現状からも、”過剰診断、過剰検診“と”過剰治療“は明確に分けて考えなければならないと思っています。そして、不安の払拭や被ばくとの因果関係を究明する上では、現状の甲状腺検査を、しっかりと継続すべきであり、それは決して"過剰診断、過剰検診"に当たるものではないと考えています。

 何よりも、子どもたちの身体の中で、どのようなことが生じているのか、あるいは、生じていないのか、医療にはそれを追及する使命があり、私たちにはそれを知る権利があるはずです。甲状腺検査は正に、その目的の下に実施されていると思っています。

 御会の今般の福島県への要請は、県民に甲状腺検査についての誤解を招き、不安の払拭を妨げ、ひいては甲状腺検査の受診率の低下を生じかねません。

 当初の甲状腺検査の目的に立ち返り、網羅的な検査継続を求めるとともに、医師の責務である医師法第一条“医師は、医療及び保健指導を掌ることによって公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。”を全ういただくことを切望します。

 

 

 

 以上