福島県に福島県知事

内堀雅雄 殿                                                 2016年8月23日

要望書

 私たちは、福島県民健康調査などにより甲状腺がんと診断された患者家族の当事者団体「3.11甲状腺がん家族の会」です。私たちは、甲状腺検査の検査が見直されるとの報道に接し大変驚きました。検診は縮小するのではなく、拡充することを心から願います。

 

私たちの家族は、県民健康調査によって、甲状腺がんを早期に見つけ、早期に治療することができました。それでも再発・転移を経験し、一生、治療と向き合わざる得ない子どもがいます。

 私たちはいま、甲状腺がんがあたかも簡単に治る病気であるかのような言説により、検査を受けないことを推奨するような風潮が広がっていることに、大きな懸念を抱いています。確かに私たちも、子どもが、甲状腺がんと診断された時、大きな不安を抱きました。しかし、もし検査を受けずに、発見が遅れていたとしたらと考えると、その不安の比ではありません。

 私たちの経験から言えることは、福島県で暮らす一人でも多くの住民がきちんと検査を受けて欲しいということです。そして、早期に治療を受けられるような医療環境の整備を心から望みます。福島県に対し、以下を要望いたします。

  1. 甲状腺検査の縮小に向かうような検査の見直しは行わないでください。むしろ検査期間の短縮や対象年齢の拡大など、検査を拡充して下さい。

  2. 検診を受けやすい環境の整備や甲状腺がんに対する正しい情報の発信により、検診率の向上に取り組んでください。

  3. 現在、発生している甲状腺がんが、「過剰診断」によるものなのか、きちんとした調査を実施してください。

  4. 医療支援(サポート事業)は、事後手続きによらない簡潔な方法に変更してください。また県民健康調査以外で甲状腺がんと診断された患者(事故当時18才以下)も、医療支援が受けられるようにしてください。

  5. 甲状腺がん患者の声を反映させる仕組みを整備し、治療環境を向上してください。

 

          3.11甲状腺がん家族の会