当会の会員を含め、現在、福島県で手術を受けている子どもの7割以上がリンパ節転移または1センチ以上の腫瘍となっており、中には肺転移に至っているケースもあります。さらに低分化がんや再発例も少なくありません。検討委員会の星北斗座長宛てに要請書を送付しました。

 

2016年4月4日

「県民健康調査」検討委員会
星北斗座長殿


手術実態の解明に関する要請書

 
 春暖の候、貴下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。日頃は大変お世話になっております。
 さて去る3月30日、福島県のホームページにて、「福島県民健康調査」検討委員会の中間とりまとめが公表されました。同報告書によると、甲状腺検査について、「わが国の地域がん登録で把握されている甲状腺がんの罹患統計などから推定される有病数に比べて数十倍のオーダーで多い甲状腺がんが発見されている。」とした上で、「将来的に臨床診断されたり、死に結びついたりすることがないがんを多数診断している」可能性を示唆しています。
 県民健康調査の先行調査においては、甲状腺がん疑いと診断されている子どもの大半が、すでに手術を終えています。検討委員会の中間とりまとめに従えば、これらの子どもたちは、「将来的に臨床診断されたり、死に結びついたりすることがないがん」を、不必要な手術により摘出されてしまった可能性があるということに他なりません。
 この中間とりまとめを受け、本会の会員は、大変なショックと不安を抱えています。つきましては、以下について、早急にご対応していただきますようよろしくお願いいたします。

1、 現在までに施行されている手術のうち、いったい何例(あるいは何割)が、本来であれば必要のない手術だったのか。国立がんセンターのデータをもとに、疫学的な推計を算出してください。
2、 医療過誤に詳しい法律家や病理学の専門家を含めた第三者検証機関を大至急設置し、手術を終えた子どもたちの臨床データ(腫瘍の成長速度、組織診断内容、再発や転移の状況など)を県立医大から入手した上で、実際にどの子どもに過剰治療(医療過誤)が起きているのか、実態を解明ししてください。
3、 第三者委員会の調査により、1の推計値と一致するような多数の過剰診療が起きていないと判断された場合、中間とりまとめの内容を見直してください。

以上
311甲状腺がん家族の会